サプライチェーンコントロールタワーとは?仕組みや世界規模での需要について解説

昨今の変化が激しい社会情勢のなか、多くの企業でサプライチェーンの見直しが必要とされています。より効率的かつトラブルに強いサプライチェーンを構築するための仕組み・考え方として注目されているものが「サプライチェーンコントロールタワー」です。

この記事では、サプライチェーンコントロールタワーの概要や仕組みと併せて、構築によってもたらされる効果や世界規模での需要について解説します。

サプライチェーンコントロールタワーとは

サプライチェーンコントロールタワーとは、サプライチェーンの総合的な管理を行なうための目指すべき姿を指します。

「コントロールタワー」と呼ばれるとおり、空港や飛行場に設置される管制塔の役割をイメージしたものであり、サプライチェーン全体を見渡して管理するために必要とされています。

調達や物流といったの総合的なサプライチェーンのプロセスを管理し、サプライチェーンに関わるあらゆるデータの可視化や意思決定を支援することでコストの最小化や売上・利益の最大化が可能です。

近年、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行したことで、サプライチェーンにおける課題が浮き彫りとなりました。半導体をはじめとする多くの製品が不足し生産に大きな影響を与えたことはは記憶に新しいでしょう。

このような問題をはじめ、現在のサプライチェーンが抱えるあらゆる問題を可視化し、対策をするためにサプライチェーンコントロールタワーが必要とされています。

サプライチェーンコントロールタワーの仕組み

サプライチェーンコントロールタワーは、サプライチェーンの分断化をはじめとするさまざまな問題を早期に発見・解決するために、次のような仕組みで構成されています。

リアルタイムでのデータ収集

サプライチェーンコントロールタワーでは、サプライチェーン全体のあらゆるデータをリアルタイムに収集します。

例えば、バーコードやIoTなどから気象情報や交通情報などもリアルタイムに収集でき、社内外のあらゆるデータからサプライチェーン全体の可視化を行ないます。

サプライチェーンの可視化は、全体の最適化や課題の発見・対処における最初の段階であり、非常に重要な項目です。サプライチェーンコントロールタワーは、そのために欠かせないデータ収集から対応します。

データの統合

収集した社内外のデータは統合され、自社のさまざまな計画と紐付けられます。データの統合は、例えば調達部門であれば次の4つのレベルに分けて段階的に進められます。

  1. 調達業務プロセスのデジタル化
  2. 調達計画情報の共有
  3. サプライチェーン計画情報の連携
  4. サプライチェーン計画情報連携の高度化/詳細化

サプライチェーンコントロールタワーでは、これらの事前の計画に合わせてデータの統合を実現します。また、状況に変化があれば、リアルタイムで最新の情報を提供することも可能です。

データ分析

収集・統合したデータは、BIによる分析が行なえます。集められたデータからトラブルの原因になりそうな情報などを分析し、意思決定のサポートを行ないます。

分析機能を用いて継続的な改善を繰り返し、さまざまな課題を帰納的なアプローチにより解決することが可能です。

リアルタイム制御

可視化による、リアルタイムでのサプライチェーンの監視も可能になります。必要に応じて業務がスムーズに進むように調整をしたり、連鎖して起こり得る問題を予測したりすることで、リアルタイムで問題をコントロールできるような情報を提供します。

また、全体的な可視化の実現だけでなく、分析した内容から最適な意思決定をするための情報を提供することも可能です。

アラートや通知

緊急性の高い問題が発生した場合には即座にアラートを出し、企業が対応できるようさまざまな情報を提供します。

従来のシステムは、人間がトリガーを与えない限りシステムが作動しない「プル型」でした。しかし、サプライチェーンコントロールタワーは、システム側から人にアクションを促す「プッシュ型」であり、アラートや通知によって即座に対応できるようになります。

サプライチェーンコントロールタワーを導入すると何が変わる?

サプライチェーンコントロールタワーを導入することで「データの可視化」「意思決定の支援」「業務の自動化」といったことが実現できます。

サプライチェーンに関するデータは、サプライチェーン内の生産・在庫・輸送・需要などのさまざまな要素に関するリアルタイムデータを収集し、統合的なダッシュボードや可視化ツールを用いて一元的に管理されます。これにより、データによる可視化が実現し、全体的な業務の改善に役立てることが可能です。

また、データを活用した意思決定、AIや機械学習による意思決定の支援も実現します。AIの学習が進むことで、業務の自動化も実現できるようになるでしょう。

そのほかにも、サプライチェーンコントロールタワーによって社内外のデータの可視化が実現できていれば、仕入先のガバナンス状況も管理でき、ESG経営に向けたエシカルサプライチェーンへの対応も期待できます。

エシカルサプライチェーンへの対応は数年以内に必須になるとも考えられていることからも、サプライチェーンコントロールタワーを導入するきっかけの一つになると考えられるでしょう。

世界規模で見るサプライチェーンコントロールタワーの需要

サプライチェーンコントロールタワーの重要性は、世界規模で増しています。サプライチェーンコントロールタワーの世界的な市場規模は、2022年から2030年にかけて年平均成長率20.3%で成長し、2030年には321億4,000万米ドルに達すると予測されています。

また、経済産業省が公表する「令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(グローバル・サプライチェーンの可視化に関する調査)」によれば、先進企業におけるサプライチェーンコントロールタワーの所有率は世界規模で75%、日本では50%程度です。

さらに、サプライチェーンの可視化の実現度は日本企業が16%であるのに対して、世界規模では50%であることから、今後はますますサプライチェーンコントロールタワーの需要が増すと考えられます。

参考:経済産業省「令和3年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(グローバル・サプライチェーンの可視化に関する調査)」

まとめ

サプライチェーンコントロールタワーは、原材料から製造~消費者に至るまで、サプライチェーンの総合的な管理を行なうために目指すべき姿を指します。世界的に見てもサプライチェーンコントロールタワーの需要は高く、日本もそれに追従している形です。

サプライチェーンコントロールタワーを構築することで、サプライチェーンの効率化・安定化につながります。しかし、自社では構築の方法がわからない、という企業も多いかもしれません。

OpenTextはサプライチェーンコントロールタワー構築に向けた、国内のお客様をご支援しています。国内外で培った40年以上の経験とノウハウをもとに、お客様への最適なベストプラクティスのご紹介、課題解決へ向けたソリューションをご提案してまいります。

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