サプライチェーンを可視化させる必要性や可視化を進める方法について解説

サプライチェーンの可視化とは、サプライチェーン全体の構造と動きを見えるようにすることです。これにより、問題・課題の発見やリスク対策をはじめとした強靭なサプライチェーンを構築することができます。

近年は、サプライチェーンの原材料費の高騰による調達コストの削減と利益率の向上やリスク対策による安定調達のために、可視化の重要度が以前よりも高くなり、取り組んでいる企業も増えているのです。

この記事では、サプライチェーンを可視化する重要性について解説します。

サプライチェーンとは

サプライチェーンとは、商品やサービスが消費者の手元に届くまでの原材料や部品の調達から加工・製造・流通・販売といった一連の流れのことです。
この一連の流れの中で繰り返される、受発注や入出荷などの取引のサイクルがチェーン(鎖)に見立てられることから、サプライチェーンと呼ばれるようになりました。

なお、サプライチェーンは各工程において、複数のサプライヤーや物流ベンダーで構成されることも多く、必ずしもすべての工程を自社で作り上げることはありません。

なぜサプライチェーンを可視化させる必要があるのか

近年では、構築したサプライチェーンが適切に機能していることを管理するために、サプライチェーン全体の可視化が求められるようになりました。
ここでは、なぜサプライチェーンの可視化が必要なのか、その理由を解説します。

サプライチェーン全体の流れが追える

サプライチェーンは、消費者に商品やサービスを届けるための仕組みであり、各工程が正しく機能することが重要です。
もし1つの工程が機能しなくなると、サプライチェーンの一部や全体に影響を及ぼし、事業活動に大きな損害を与えるリスクがあります。

サプライチェーンを可視化することで、全体の流れが見えるようになり、各工程が正しく機能しているか、トラブルが起きていないかなどを把握しやすくなります。

その結果、トラブルが起きても迅速な対応が可能となり、損害を最小限に抑える対応策を講じやすくなります。

世界的な混乱に対応するため

これまでは東日本大震災など国内で局所的なサプライチェーンの寸断が起こりました。
また、新型コロナウイルス感染症のパンデミックやロシアのウクライナ進行など、ここ数年世界的な混乱が続いたことで大打撃を受けたサプライチェーンが多くあります。

こうした世界的な混乱や問題は予測不可能なため、どのような状況のなかでも安定的な調達を行い、生産や製造を持続させるサプライチェーンのレジリエンス(回復力)の必要性が高まりました。

しかし、サプライチェーンレジリエンスを向上させるためには、現在のサプライチェーンのリスクや脆弱性を見つけなければいけません。

そのため、サプライチェーンを可視化し、各工程を管理することで、問題が起こった場合でも迅速にリカバリーできる体制をとることの重要性が増したのです。

下記の記事では、サプライチェーンレジリエンスについて詳しく解説しており、具体的な方法なども取り上げているので、ぜひ参考にしてみてください。

サプライチェーンのレジリエンスとは?注目されている背景やレジリエンスを高める方法を解説

安定調達・無駄なコスト削減

サプライチェーンは、複数の企業から構成されることが多く、モノの流れが複雑化しやすく、商流の細部まで把握することが困難になります。

その結果、納期通りにモノが届くのか、モノがどこで止まっているのかといった問題が見つけにくくなります。
結果的に納期が遅れたり、品質に問題があったりなど、安定的な調達ができなくなり、無駄なコストを支払い続けていることがあるのです。

サプライチェーンを可視化することで、調達や物流の各工程のコストや生産状況が明確になり、改善が必要な部分を把握できます。

例えば、サプライヤーの納期遵守率や注文充填率などの指標をもとに改善を促したり、あるいは別サプライヤーへ見直すこともでき、無駄な工数の削減や効率的な製造体制の構築につながります。また、隠れた無駄を把握し削減することで利益率も向上します。

サプライチェーンの可視化はDX化がカギ

サプライチェーンの可視化には、原材料のコストや部品・製品の数量、物流の状況など多岐にわたる情報が含まれます。このような社内や取引先のサプライヤーや物流ベンダーの情報をリアルタイムで確認するためには、サプライチェーン業務のデジタル化と、データを統合的に収集し活用できるB2B統合基盤が必要不可欠です。
 
しかし、経済産業省が2018年9月に公表した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』では、多くの企業でDX化が進んでいないと指摘しています。
 
DX化の必要性を感じている企業でも、多くの場合、既存システムの詳細がわからずブラックボックス化しているため、最新システムの導入が進んでいません。
 
また、DXレポートでは2025年以降の経済損失が年間最大12兆円と、現在の約3倍にのぼる可能性があることにも言及しています。
 
このようにサプライチェーンはビジネスの基盤となるため、DX化によってサプライチェーンを可視化し、企業が変革する必要があるのです。

サプライチェーンの可視化を進めるには

サプライチェーンの可視化を進めるためには、社外のサプライヤーや物流ベンダーなど、あらゆる情報を統合しリアルタイムで管理できる環境を整える必要があります。

さらに、その可視化した情報をもとに現場の意思決定を迅速に行うことで、調達リスクを低減し、売り上げの機会損失を抑えることで企業全体の収益力の向上へと繋がります。

B2Bデータを統合し活用を徹底することで、サプライチェーンを可視化するメリットを最大限活用できます。

また、サプライチェーンの可視化に向けて、網羅的に情報を可視化し管理する、「サプライチェーンコントロールタワー」も検討してみましょう。データの収集から統合、活用までコントロールタワーのように効率良く情報を管理できます。

サプライチェーンコントロールタワーについては、下記記事で詳しく解説しています。サプライチェーンの可視化を推し進めるにあたり、ぜひチェックしてみてください。

サプライチェーンコントロールタワーとは?仕組みや世界規模での需要について解説

まとめ

サプライチェーン全体を可視化することで、潜在的な課題やリスクが浮き彫りになり、業務の改善やトラブル時の対応がスムーズになるでしょう。

そのため、積極的にサプライチェーンの可視化に取り組むことは、トラブルが起きても最小限の損害にとどめ、強く柔軟なレジリエンス(回復力)を持つサプライチェーンの構築につながります。

OpenTextは、40年以上にわたりサプライチェーンネットワークのデータ連携基盤を提供することにより、調達業務や販売業務などを支援してきました。

近年、需要が高まるサプライチェーン業務のデジタル化にも積極的に対応し、可視化や自動化といったお客さまの課題解決をサポートします

さらに、国内外のベストプラクティスにより、お客さまに最適なソリューションを提案可能です。サプライチェーンの可視化にお悩みの方は、ぜひOpenTextへご相談ください。

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