サプライチェーンDXを成功に導くには?

積水化学様の事例から見えてきた成功要因①~認識された3つの課題~

このブログをご覧の多くの皆様の関心事は、やはり自社のデジタルトランスフォーメーション(DX)についかと思います。同時にこのDXというテーマに対しては、どこからどう手を付けたらよいか分からないといった率直な感想もお持ちではないでしょうか?

数多くのお客様からサプライチェーンDXのご相談をいただく私どもでは、お客様への支援を行っていく中で、サプライチェーンDXの実現には成功のステップやパターンがあることに気づきました。
本稿ではそうしたサプライチェーンDXの方法論や具体的な中身をご紹介させていただくことで、少しでも皆様のDXに向けた取り組みのご参考にしていただければと思っております。

積水化学様の課題

今回、事例としてご紹介させていただくのは、積水化学工業株式会社様(以下、積水化学様)のお取り組み事例です。

住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックス、メディカルの4つの部門で事業を展開する積水化学様は、長期ビジョン「Vision 2030」でESG経営を中心とした革新と創造により、2030年までに業容倍増(売上高2兆円、営業利益率10%以上)を目指されています。

その中で積水化学様は、2022年度までの中期経営計画「Drive 2022」のもと、現有事業、新事業、経営基盤の3つの“Drive”を、デジタルトランスフォーメーション(DX)によって加速されています。
毎年、順調な成長を続けてこられた積水化学様ですが、新たな目標である業容2倍となるとこれまでの考え方を抜本的に見直す必要があります。そこで、積水化学様では部門横断でDXチームを設立され、サプライチェーンDXを強く推進されることになりました。その時に課題として意識されたのは次の3点でした。

1)レガシーシステムの刷新

まず1つ目は、「レガシーシステムの刷新」です。
元々、積水化学様では、システムはスクラッチ開発による「自前主義」が主流でした。その方が、小回りが利きますし、現場の業務に寄り添った仕組みが作れます。しかし、売上高を2倍にするためにはグローバルに販売を推し進めていかなければなりません。そうなるとグローバルで標準化されたオペレーションが必要となってきます。そのため業務やデータを標準化し、これまでのレガシーシステムからSAP S/4HANAといったグローバル標準のシステムへのリプレースも検討しなくてはなりません。
従来の基幹システムが複数のシステムで構成されていたこともあり、こうしたレガシーな基幹システムからの刷新を契機に、企業間(B2B)データ連携の在り方も変わってきます。将来を見据え、社外とのデータ連携をどうすべきかというのが課題の一つとなりました。

2)マニュアルプロセスからの脱却

2つ目は、「マニュアルプロセスからの脱却」です。
一昨年、東京本社を移転された積水化学様ですが、移転に際し旧本社の社内設備や備品を点検された役員の目に飛び込んできたのは予想を超えた複合機の多さでした。調べてみると、まだまだFAXやメールなどのマニュアルプロセスでの対応が非常に多いことが分かったのです。こうした実態を踏まえ、DXの第一歩としてまずは、業務の「デジタル化」を手始めに進められることにしたのです。

3)データドリブンのSCMの実現

3つ目は、「データドリブンのSCMの実現」です。
前述の通り、積水化学様ではこれまで、自社開発により個々の業務に適したシステムを使用されていました。しかし、大きな業容拡大を目指し、グローバルでのビジネスを拡大していこうとする中では、標準化されたシステムにより国内外からデータを収集し、業務横断の可視化と分析ができ、迅速な経営判断・意思決定を行えるようにしていく必要があると考えられました。

積水化学様では、これらを念頭にサプライチェーンDXを推進していかれたのです。次回は、検討された3つのポイントについて解説していきます。

古矢友和

オープンテキスト株式会社ソリューションコンサルティング本部シニアソリューションコンサルタント ITサービスにおけるプロジェクトマネージャー、プリセールスを経てオープンテキスト株式会社に入社。 以来、製造業などのサプライチェーン領域における企業間データ連携の課題解決・改善・改革に関するソリューション策定・提案に従事。

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