インサイド OpenText Exstream – Part 3

一粒で二度も三度もおいしいマルチチャネル

【連載第3回】は、ひとつのアプリケーションとデザインから複数の出力でデジタル化に即応するマルチチャネル機能について解説します。
Exstream
の際立った特徴のひとつが、単一のデザインとアプリケーションで、WebEメールといった多様な出力と配信に対応するマルチチャネル対応です。

日本で一般的な帳票ツールで作成できる出力は、ほぼPDFだけ。さもなければ、いまどきの独自形式。つまりPCで参照するか、印刷するかしか、事実上使い道はありません。電子帳票対応を売り物にする製品もあるようですが、これも同様。いまどきモバイルにも対応しないアウトプット一本槍で、これから何年システムを持たせるつもりなのか、いささか心配になってきます。もちろん専用ツールやアプリでWebやモバイルに対応することはできますし、他に手がないのでそうされているかもしれません。でも、結果として同じような処理が、いくつもできていて、更改の負担がいっそう増していないでしょうか。

多様な出力フォーマット

Exstreamがサポートする出力フォーマットは、PDFPostScriptAFPTIFFHTML / HTML (Email)VIPPWord (*.docx) VIPPVDXMIBFなど20種類以上の多岐にわたります。また一口にPDFといっても、様々なバリエーションがありますが、Exstreamは複数バージョンの通常のPDFに加えて、アーカイブ用途のPDF/A-1a, PDF/A-1b, PDF/A-2a、さらにバリアブル印刷向けのPDF/VTまでサポート。通常のPDFでも、種々のバージョンや圧縮オプション、また、また256-bit AES暗号化やPDF/UAWCAG 2.0の両アクセシビリティ規格にも対応しています。しかも、HTML / HTML (Email)以外の出力は、同じ単一のデザインから生成することができます。出力フォーマットによる制約を別とすれば、同じ出力が得られるのです。

元々大量印刷のニーズに応えるために、さまざまな高速印刷機(プリンター)専用フォーマットに対応してきた経緯もあるとはいえ、これだけ多様なフォーマットにネイティブで対応しているExstreamは、愚直に真摯にアウトプットに取り組んでいると思っています。

複数出力とキュー

多様な出力フォーマットといっても、それぞれに合わせて何度も処理を繰り返さないといけないようでは、いまひとつ。Exstreamは、ひとつのアプリケーションから複数の出力を設定して、同時に生成することができます。例えば印刷用のPDFとアーカイブ用のTIFF、あるいは印刷用の高解像度PDFと保管用の低解像度PDF、等を組み合わせることが可能。印刷用にひとつにまとめて、オンライン参照用には顧客別に分割、といったことも自然にできます。

こうした柔軟性を裏付けるのが、「出力」と「キュー」。前回の入力と同様、一般的な帳票ツールでは、個別のページデザインがアプリケーションとして出力にも紐づいていますが、Exstreamではデザインと独立した共通の設定として構成します。だからデザイン担当者はデザインだけにフォーカス可能。出力については、実証済みの設定を活用したり、あるいは開発の最終段階で別途調整したりすることができるのです。

コンテナーデザイン

ページデザイン(およびグラフィックメッセージ)は、2種類のデザインを内蔵しています。ひとつはスタンダードデザインと呼ばれる固定サイズのレイアウトで、印刷出力に適しています。しかしPDFで誰もが体験する通り、特にモバイルなどPC以外のデバイスで使用するには、必ずしも適していません。

もうひとつのコンテナーデザインは相対サイズのレイアウトを使います。だから固定レイアウトのような制約に縛られることなく、メディアクエリーなどと合わせて、デバイスに適した表示をダイナミックに行うことができます。

またコンテナーはひとつのページデザインに対して複数設定することが可能。例えば同じページ上のコンテンツ(と、そこにあるデータ)を使って、印刷用PDFEメール用HTMLWebHTMLを、同時にデザインすることができます。

さらにダイナミックなチャートが、Webやモバイルでの視覚的なインパクトを高めます。またアドインのアーキテクチャーにより、標準で提供されるチャートの他に、例えば次の例のようにチャート以外の機能であっても、SDKで独自の動作を行うモジュールを開発して組み込み、さらに拡張することも可能です。

配信インテグレーションとアシュアードデリバリー

Exstreamの実行オーケストレーションを司るCommunications Serverが備えるフィルターとコネクターを使って、目的とニーズに応じた柔軟な配信を行うことができます。例えばEメールでは自社サーバーではなく、性能と到達率で定評あるESP (Email Service Provider) であるSparkPostを使ったり、またFAXではOpenTextのクラウドFAXサービスを使ったり、印刷会社にPDFを送信したり、といった実装も簡単です。

一般に、Eメールでの配信を検討する際には、万一不着となった際の対応が課題となります。Exstreamではある顧客に対する配信がエラーとなった時に、そのコミュニケーションを印刷・郵送向けに自動処理する「アシュアードデリバリー」機能を備えています。個別に監視して対応する必要なく、郵送と同等なサービスレベルを保証することができることから、安心してEメール配信サービスを提供して、顧客にとっての利便性と、コスト削減のメリットを直ちに享受することができます。

秘密の裏技: 郵便番号ソート、システム統合前に郵送物を統合

実務で経験のある方なら、郵送の際に宛先郵便番号で事前に区分すれば割引を受けられる制度をご存知でしょう。日本に限らず、グローバルでも一般的な制度です。しかしながら、この基準に適合するために、出来上がった郵送物を並べ替えるのは非現実的です。一方で出力のためのデータがこれに適した順番になっているかというと、そうとも限りません。Exstreamは、処理過程で出力を再ソートする機能で、こうしたニーズに応えます。入力データの順序が何であれ、適切な出力順とすることができます。印刷会社に印刷と発送を委託している場合でも、そのまま印刷用のPDFなどを送信するだけ。ムダなくタイムリーに発送できます。

このOutput Sorting and Bundling機能を応用すると、複数回に分かれた生成処理の結果を、ひとつにまとめることもできます。例えば、同じ住所に居住する家族あての送付物をひとつの封筒にまとめて送る、名寄せです。この時、同じアプリケーションからの出力だけでなく、実は異なるアプリケーションから生成された出力を統合することさえも可能。このApplication Consolidator機能を使えば、別々のシステムから生成された顧客への帳票をひとつの封筒内にまとめて届けられます。つまり金融機関の統合に際しても、システムを統合する以前に、顧客には新体制を実感してもらいながら、郵送コストを下げることができるのです。グローバルではこうした活用が珍しくありません。別々の事業部や口座から個別に送られていた書類をまとめてお送りすることで、重要顧客ほど多くの郵送物を受け取っていた笑えない状況を改善した例もあります。

 

次回は、カスタマーコミュニケーションの知られざる第3のユースケース、インタラクティブに迫ります。

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