グローバル・サプライチェーン高度化に向けた
国内製造業の課題と取り組み

本年もOpenText国内最大規模のイベントが盛況のうちに閉幕しました。本ブログでは、サプライチェーンDXに向けた製造業の取り組みについての講演内容を振り返ります。

新型コロナ感染拡大以降、多くの製造業で経営課題にもなりましたサプライチェーンの高度化に向けた取り組みついて、サプライチェーン基盤として多くの企業に導入頂いている、B2Bデータ連携の最新ソリューションをご紹介したセッション内容を振り返ります。そして本セッションでは、日頃OpenTextが主催しているセミナーやラウンドテーブル、そして個々のご提案などから、お客様が抱えていらっしゃる課題や取り組みをお伝えし、今後の参考になれば幸いです。

サプライチェーンマネジメントに対する意識の変化と解決の方向性

新型コロナによるパンデミックに始まり、スエズ運河での座礁事故、最近はランサムウェア攻撃や米国大統領によるサプライチェーン強化命令、そして半導体不足によるサプライチェーン断絶など、サプライチェーンへの影響が非常にクローズアップされた数年だと思います。いまやサプライチェーンが経営上の重要なポイントになってきたというのは皆様もよく感じておられるかと思います。このサプライチェーンのリスクを三つに整理させていただきました。

この3つのうち、近年特に顕著だったのは、調達リスクです。生産を安定的に進めたいのに、部品や部材が納品されないことが多く起こってしまたため、生産が止まり需要に対応できないということが発生しました。弊社にもこの課題へのご相談が多くとても印象的でしたが、これに対する対策として、サプライチェーンの高度化が喫緊の課題としてお客様から聞こえてきた言葉でした。そしてリスクへの対応策として、サプライチェーンコントロールタワーの必要性が求められているのです。

これまでは調達部門は調達業務のオペレーションをしているわけでしたが、今後は生産の安定化を図るべく、発注したものがいつ届くのか?遅れている場合はリカバリーをどうするのか?など対応策をコントロールしていける部門になる必要があると多くのお客様が言い始めています。

こちらがサプライチェーンコントロールタワーの概念図です。今何が起きているのか?これから何が起こりそうなのか?この示唆がないとコントロールできません。コントロールにはデータに基づいた判断が必要です。このデータが一番のポイントです。右側に記載がある通り、サプライ”チェーン“として繋がるためには、自社だけで完結できることではなく、サプライヤー、物流会社、販売店などの情報をチェーンとして繋げて行かないと精緻な計画ができないと言うような状況が生まれています。そして、これら社外から自社に取り込まれるデータが実に44%にのぼるという調査結果があります。関連会社からデータを収集し、それに基づいて判断を行う「データドリブン型のサプライチェーンコントロールタワー」を構築することで問題発生時あるいは発生前に迅速な対応を図ることができ、リスクを最小限にとどめる事が分かってきております。

データドリブンサプライチェーンの実現に向けた4つのステップ

データドリブンサプライチェーンの目的は、やはり生産の安定化にむけた情報の進化と深化です。ここをどのように深堀して行くか、進化させていくかというのがポイントになります。ここでは4つの重要なポイントにまとめました。

ステップ1:調達業務プロセスのデジタル化
今までファックスやメー ルでの受発注業務をWeb-EDIを入れてデジタル化することで業務プロセスの遂行状況を可視化や分析の実現が可能となります。

ステップ2:調達計画情報の共有
計画に係る情報の共有というのは、例えば所要計画を送って生産してもらうことや、内示の情報を先に送り、注文までの所要期間で確認を取ることで調達計画をよりブラッシュアップさせることができます。

ステップ3:サプライチェーン計画情報の連携
この段階では、在庫情報や生産リードタイムといった付加価値的な情報をサプライヤーから取得することでPSI管理や可視化を実現します。

ステップ4:サプライチェーン計画情報連携の精緻化
そしてステップ4では、1次サプライヤーのみならず、さらに上流の2次、3次サプライヤーとも情報連携することによりPSIをより精緻化して行きます。

しかしこれは概念的な話なので、セッション内ではそれぞれの段階でどういったデータを取っていけばいいのかをさらに4つに分けより具体的にお話しさせていただきました。

このように情報をどんどん集めてサプライヤーとの情報を進化/深化させて行き、サプライチェーンコントロールタワーで集約された情報を活用して行く これがデータドリブンサプライチェーンと言う考え方です。

データドリブンサプライチェーンを実現する上で基礎となるのが、関係会社との情報連携です。しかしこれが簡単なことではありません。例えば、昨今異業種間取引が多くなってきています。自動車会社が電機メーカーに発注するといった形です。この場合、自動車業界ではJAMA-EDIFACTという業界フォーマットを使っています。一方、電機業界ではEIAJという業界フォーマットを使っています。そのため情報連携は簡単ではありません。これが海外の企業との取引となると、また違ったフォーマットになります。

また別の例として、海外輸送における輸送ステータスを輸送会社から取得するとなると、どの輸送拠点から、どういった情報をどのように収集するかという話になます。

このように情報連携は必要なことですが、これは皆様の会社のコアコンピタンスではないと思いますので、情報連携に関しては弊社のような専門会社にアウトソースしてしまうのが良いのではないでしょうか。

グローバルサプライチェーンプラットフォーム活用によるサプライチェーン高度化支援

サプライチェーンコントロールタワーによる、データドリブンサプライチェーン実現にむけて、需給計画・調達・ロジスティクス・資金回収・サービスサポートといった各業務プロセスで発生するデータを、シームレスに授受するグローバル対応のプラットフォームが不可欠となります。各業務プロセスで発生する様々なデータを取り込める基盤がないと、横断的な情報の把握ができず、どこかに穴ができてしまいます。すべての局面でデータが取れて情報を提供できることが、データドリブン型の経営を支援することになります。

サプライヤー規模に応じてB2B統合連携方法が異なる

デジタル化を進めていくにはサプライヤーの規模により、統合方法が異なるのが重要なポイントとなってきます。大手企業はERPとの直接接続や統合が可能ですが、中小企業あるいは個人事業者は、FAXやメールが主流になっています。しかしデータドリブンサプライチェーンには、企業規模を問わずデジタル化が必要となるため、少なくともWeb-EDIを活用したデジタルデータの授受が必要になってきます。事例セッションでお話される大日本印刷様はまさしくFAXやメールでのマニュアル業務からWeb-EDIへのデジタル化を進めています。そして先ほどの4つステップの1つめの土台を作ることで、ステップ2、ステップ3を目指して取り組んでいらっしゃいます。

企業間データ連携基盤 “OpenText B2B Managed Services”

OpenText B2B Managed Servicesは、基本的な調達プロセス全域で利用可能です。また付加価値情報として、生産リードタイムや在庫情報といったお客様が求めるデータのフォーマットにも対応しています。

そしてこのデータ連携基盤は、国内外の取引先が必要とする様々なフォーマットやプロトコルに対応したデータの授受が行えます。このソリューションの一番のポイントは、お客様が既に利用しているシステムからデータを送信するだけで、取引先が必要とするデータフォーマットに自動で変換しデータを届けることです。非常にシンプルでお客様の負荷も低減できるソリューションです。

①   接続:あらゆる物理的な接続方針に対応

② プロトコル:既存のEDIからAPIにも対応

既存のB2B連携手法の維持し新規テクノロジーへの対応

③ フォーマット:国内外の業界標準フォーマットに対応

米国ではANSI、ヨーロッパではEDIFACTが利用され、国内でも業界ごとにフォーマットが異なっています。将来的なビジネス拡大も鑑みると様々なフォーマットへの対応が必要になってきます。

④ 導入~運用:付加価値サービスも含めた提供

基盤の提供だけでなく、利用に伴う様々な付加価値サービスも含まれており、企業間データ連携基盤の利用を促進します。

調達サプライヤーコラボレーションWeb-EDI “Active Orders”

OpenText B2B Managed Servicesのデータ連携基盤上で取引先とのファイル連携が可能となりますが、中小企業や商取引の大きくないサプライヤーとの取引に活用できるのが“Active Orders”になります。所要計画や注文といった調達では確定的な情報を受領するのにすぐれているアプリケーションになります。

そして調達業務においてデータを受領するだけでなく、サプライチェーンコントロールタワーにて管理するうえで必要となるポイントを兼ね備えたWeb-EDIになります。

まとめ

今回のセッションでは、国内製造業のお客様はサプライチェーン高度化を求められており、データドリブンサプライチェーンを実現するうえでサプライチェーンコントロールタワーの構築が必要とされています。そして今後構築に向けて、調達業務プロセスのデジタル化と取引先との情報連携をこれからしっかり取り組んで行く必要があるというのが、本日のポイントになります。OpenTextは世の中の情勢やテクノロジー、そしてお客様のリクエストをもとにサービスを拡張していくサイクルとロードマップ策定しています。最近ではエシカルサプライチェーン対応に向けたパイロット始めているお客様もいらっしゃいます。弊社のサービスは従来のテクノロジーと新しいテクノロジーの両方を組み込み、陳腐化させることなく、サプライチェーン高度化に必要な機能やサービスが適宜アップデートされますので、お客様の個々のニーズに沿ってご提供できるのではないかと考えております。

OpenText Business Networkはサプライチェーン高度化に向けたグローバル規模の最新ソリューションをご提供しています。ご興味がございましたら是非ご相談ください。

モバイルバージョンを終了