前回のブログ:エシカルサプライチェーンとは?その対応が早急に必要な理由<前編>
https://blogs.opentext.jp/ethical-supply-chains-1/
本稿では、昨今、注目を集める「エシカル消費」について、企業に求められる対応を考えていきます。
前回に引き続き、数年以内には必須の対応が迫られるといわれる「エシカルサプライチェーン」ですが、経済産業省と外務省が行った調査結果からは、人権への取り組みを推進したくても、どう進めて良いかわからないといった企業担当者の声も聞こえてきます。
高度なサプライチェーンコントロールを確立するためのソリューションとは
とはいえ、前回の大手アパレルの例でもあったように、いまやエシカルという観点でのリスク管理は不可欠の時代です。だからこそ、サプライチェーンの中で、エシカルという観点でのリスクがはらんでいないのか、絶えずウォッチして管理し、何か問題が発生すれば、すぐに別の調達手法、調達ルートに切り替えられるような、高度な「サプライチェーンコントロール」を確立することが求められているのです。
ですが19年にエコバディス社(包括的な企業の社会的責任評価サービスを提供するパイオニア企業)と米ニューヨーク大学スターンセンターが世界各国、さまざまな業種の企業を対象に実施した調査によると、一次サプライヤのみ状況を把握している企業は半数以下の45%。二次サプライヤまで把握している企業は23%、三次サプライヤに至っては全体の4%程度しか把握できていないという結果でした。残りの28%の企業に至っては、まったく把握できていないという回答でした。
オープンテキストではこのような課題を解決する仕組みを用意しています。当社のB2B連携基盤「OpenText B2B Managed Services」では、Dun & Bradstreetの商業データにもアクセスが可能。D-U-N-Sナンバー(企業識別コード)とDun&Bradstreetからのメタデータを活用して、財務的名格付け情報に基づいて調達決定を行うことができるようになります。またエコバディス社の評価データを参照でき、環境、労働慣行と人権、倫理、持続可能な資材調達という4つの主要テーマにわたる21の持続可能性指標による格付けを参考に、サプライヤ選びをすることができるようになります。
ですが、取引を開始した時点では、問題がなくても、その状況が永久に続くとは限りません。サプライチェーンレジリエンスを担保するには、取引が始まって以降も常にチェックして続けることが重要になります。そこで必要になるのが、コントロールタワー機能です。コントロールタワーを構築して、絶えずサプライチェーンの中で起きていることを捉えていくことです。
コントロールタワーでしっかりサプライチェーンを見えるようにするだけではありません。現状を把握した上何か問題があればすぐに新しい状態に移行できるような仕組みも必要です。つまりこれからのサプライチェーンコントロールには、「可視性」と「俊敏性」の2つを実現するための仕掛けが重要になります。
オープンテキストでは、それを可能にするサプライチェーン管理ソリューションを今年中にリリースする予定です。ダッシュボードを介してDun & Bradstreetが提供する企業統計、財務、ESG指標へのアクセスはもちろん、サプライヤのリアルタイムモニタリング機能を提供。ダッシュボードを見ることで、サプライチェーンに何が起こっているのか全体を把握することはもちろん、個々の事象についてもしっかり捉えることができるようになります。またサプライヤに関連する実行可能性リスク、コンプライアンス問題、および混乱を特定する「早期警告システム」によって、手を打つべきところがどこにあるのか、その判断を俊敏に行えるようになります。
オープンテキストが将来的に提供を予定しているサプライチェーンコントロールタワー機能は次のような構成を予定しています。「OpenText Trading Grid」でERPやTMS、PLM、3PLサービスデータ、ソーシャルメディア、気象情報、交通情報などのデータを統合。それらのデータとAI/機械学習分析エンジン、可視化/イベント監視ツールを活用することで、リスクがありそうなサプライヤを示唆するなど、意思決定につながる情報を提供することを視野に入れています。
オープンテキストではこのような仕組みを構築することで、大きな問題になる前に手を打ち、サプライチェーンのサスティナビリティを実現するお手伝いしていきたいと思っています。